積分ガジェット


概要

積分ガジェット ツール(addtool_curve_integ X-Function) は、黄色で長方形の関心範囲(ROI)オブジェクトを使って、直感的にデータ範囲を選択し計算させることが出来ます。カーブの下にある面積を計算し、ROIボックスの上に結果を簡単に表示することが出来ます。

Integrate Gadget.png

このダイアログで、次のことができます。

  • 積分限界を指定
  • 基線を指定
  • ROI内に差分曲線と積分曲線を表示
  • ピークの範囲、ピークの高さ、ピークの中心、FWHMなどのパラメータを計算


積分ガジェットを開く

このツールを使用するには、グラフウィンドウがアクティブなときにOriginメニューからガジェット:積分を選択します。このツールが既にアクティブな場合、ROIボックスの右上にある矢印ボタンをクリックして設定を選択すると積分ダイアログを再度開くことができます。

ガジェットツールの表示/非表示

全ガジェットのROIボックスの表示は、グラフの右上にあるHボタンH Button.pngで制御でき、ガジェットの結果と共にグラフをエクスポートことができます。

ROI ボックスタブ

Xのスケール ROIのXデータ範囲を指定します。
開始
Xスケールの開始値です。
終了
Xスケールの終了値です。
固定(ROIによる変動を防止)
ROIボックスを移動せず、Xスケールを固定します。
ツール名を表示する(toolname) グラフ内の矩形の上にツール名を表示するかどうか指定します。設定でツール名を指定可能です。
塗り色(rectcolor) グラフに追加する矩形の色を指定します。色リストをご覧下さい。
AreaとFWHWを中心上に表示 (showtop) グラフ内の矩形の上にArea(面積)とFWHWとを表示するかどうか指定します。

積分タブ

フィット制限範囲(fitlimit) 積分限界を指定します。 線形補間/補外で限界を取得するか、元データを積分限界として使用します。
  • 四角領域に補間
    元データに従って、四角形の端の2点を補間し、この2点を積分限界に使用するかどうか指定します。 四角形の端が元データを超えたら補間しません。
  • 四角形領域の補間/補外
    元データに従って、四角形の端の2点を補間/補外し、この2点を積分限界に使用するかどうか指定します。
  • データポイント
    補間せず、ローデータを積分限界として使用します。
面積タイプ(areatype) 積分領域の種類を指定します。
  • 数学的面積
    面積は台形の代数的総計で求められます。
  • 絶対面積
    面積は絶対台形値の総計で求められます。
表示 (showIntegrArea)
基線減算した曲線
グラフ内に基線を減算した曲線を表示するかどうか指定します。
積分領域の表示
グラフ内に積分面積を表示するかどうか指定します。
新しい出力を閉じた後も影の色を保持する
新しい出力オプションを閉じた後も積分した範囲の塗色を保持するかを指定します。
Note: 影にした(積分)面積及び基線についての詳細は こちらの FAQ をご覧ください。
積分曲線
  • なし
    積分曲線をグラフに表示しません。
  • 四角形に制限
    矩形の中に積分曲線を表示します。もし元の曲線よりも積分曲線の値の方が大きかった場合、積分曲線は再スケールして矩形のボックス内に収まるようにします。この場合、積分曲線は真の値を表示しません。
  • 真の値
    実際の積分値をグラフ内に表示します。

基線タブ

モード (method) 基線モードを指定します。
  • なし (Y=0)
    Y=0を基線として使用します。
  • 定数Y
    水平線を基線として使用します。
  • 直線
    傾きのある直線を基線として使用します。
  • 既存のデータセットを使用
    既存のデータセットを基線として使用します。
  • 二次微分
    二次微分を使って基線を作成します。
  • 最終ポイント重み付け
    2つの終点データポイントを使ってスムージングされた曲線を作成します。
Y= (yvalue) モードとして定数Yが選択されているときのみ利用できます。基線として使用する水平線のY値を指定できます。
xの固定 (fixxto) これは、モード直線が選択されているときのみ利用できます。 左のYオフセット(yoffsetleft) と右のYオフセット(yoffsetright)と一緒に使います。 基線の始点と終点のX値を選ぶ方法を指定します。

左のYオフセット(yoffsetleft) の値をb1、右のYオフセット (yoffsetright) の値をb2、基線の開始Y値をa1、基線の終点Y値をa2と定義するものとします。すると、常にa1-b1=y1 と a2-b2=y2になります。ここで、y1とy2はx1とx2のそれぞれのY値を表します。x1とx2の定義については、下記をご参照ください。

  • データ全体
    Xをデータセット全体に固定します。これを選択する場合、x1は元データの開始X値、x2は元データの終了X値です。
  • 四角
    xを矩形に固定します。これを選択した場合、x1は矩形の左端のX値で、x2は右端のX値です。
  • スケール
    xをXスケールに固定します。これを選択すると、x1はスケールの開始点、x2は終了点になります。
左のYオフセット (yoffsetleft) これは、モード直線が選択されているときのみ利用できます。上記のb1の値を設定できます。
右のYオフセット (yoffsetright) これは、モード直線が選択されているときのみ利用できます。上記のb2の値を設定できます。
データセット (xyrbase) これは、モード既存データセットを使用が選択されているときのみ利用できます。基線として使用する既存のデータセットを指定できます。

範囲1 (Range1)

X (X=)
X範囲を指定します。
Y (Y=)
Y範囲を指定します。
データセットの一部のみを基線として使用する場合は、チェックを付けます。
開始
開始行を指定します。
終了
終了行を指定します。
スムージング法 ベースラインを作成する前に適用するスムージングの手法を選択します。このオプションは、モード二次微分に設定されている場合にのみ使用できます。以下のオプションがあります。
ウィンドウサイズ
Savitzky-Golayまたは隣接平均法を 使う際、目的のウィンドウサイズ(自然数)を移動するウィンドウに指定します。
しきい値
Savitzky-Golayまたは隣接平均法を使う際にしきい値を設定します。
多項式次数
このパラメータはスムージング法Savitzky-Golayが選択されている場合のみ利用できます。多項式の次数 (1~9) を指定します。
最大アンカーポイント数 ベースラインのアンカーポイントの最大数を指定します。このオプションは、モード二次微分に設定した場合にのみ使用できます。
接続法 アンカーポイントの接続方法を指定します。このオプションは、モード二次微分に設定した場合にのみ使用できます。
最終ポイント(%) 基線作成に使うエンドポイントの割合を指定します。これは、モード最終ポイント重み付けが選択されている時のみ利用できます。


出力タブ

値の出力先

出力結果を編集します。

スクリプトウィンドウ (script) スクリプトウィンドウに結果を出力するかどうかを指定します。
結果ログ (reslog) 結果ログに結果を出力するかどうかを指定します。
結果ログ/スクリプトウィンドウ中のロングネーム (useLongName) Originが結果ログやスクリプトウィンドウに結果を出力するとき、計算する値(quantities)のロングネームまたは変数名を使用するかどうかを指定します。
ワークシートに追加 (appendwks) ワークシートに出力結果を追加するかどうか指定します。
結果ワークシート名 (wbkName) これは、ワークシートに追加(appendwks) が選択されたときのみ利用できます。
  • 結果は、デフォルトで[%H-QkInteg]Resultに出力されますが、ほかのブックやシートを指定することもできます(ここで、%Hはソースグラフのショートネームです)。指定したブックやシートがない場合、作成して出力します。
  • もう一つの方法として、結果ワークシート名の右側にあるフライアウトボタンGadget flyout button.pngをクリックして、入力ブック内のシートを選択します。これにより、編集ボックスには[<input>]Resultが入力されます。結果は、元データのワークシートResultに出力されます。
グラフにラベルを追加 (LabelToGraph) ラベルをグラフに出力するかどうかを指定します。
有効桁数signdigits 出力する数量の有効桁数を指定するために使用されます。デフォルトのシステムは環境設定:オプションダイアログの数値の表現形式タブの桁数設定に従います。これは、ROIボックスの上部のラベルと、スクリプトウィンドウ、結果ログへの出力、およびグラフに追加されたラベルに影響します。

計算する値

出力する値を指定します。

データセット識別子 (name) ドロップダウンリストでデータセット識別子を指定します。
開始の行番号 (begin_row) 開始の行番号を出力するかどうかを指定します。
終了行インデックス (end_row) 終了の行番号を出力するかどうかを指定します。
X開始 (begin_x) 開始のX値を出力するかどうかを指定します。
X終了 (end_x) 終了のX値を出力するかどうかを指定します。
最大の高さ (ph) ベースラインから計算された最大の高さを出力するかどうか指定します。
YmaxでのX (pc) 最大Y値でのXを出力するかどうか指定します。
面積 (pa) ベースラインから計算された面積を出力するかどうか指定します。
基線より上の面積(paa) ベースラインから計算された上側の面積を出力するかどうか指定します。
基線より下の面積(pab) ベースラインから計算された下側の面積を出力するかどうか指定します。
重心 (pcd) 重心を出力するか指定します。
FWHM (pfwhm) FWHM(半値全幅。元の曲線の半分の高さでの幅)を出力するかどうかを指定します。
左半幅 (plhw) 左半分の幅を出力するかどうかを指定します。
右半幅 (prhw) 右半分の幅を出力するかどうかを指定します。
Y最大 (pymax) 減算曲線上のYの絶対値が最大となるX位置の入力曲線上のY値を出力するか指定します。
YmaxでのXインデックス (pxofymax) 最大Y値でのXインデックスを出力するかどうか指定します。
基線 (base) 基線の情報を出力するか指定します。
Notes: 名前はダイアログボックスのラベルで、括弧の中の名前はツリーノード名です。Xファンクションがスクリプトで実行されるとき、その名前を使って、ツリーノードに値を割り当てる必要があります。ツリーノード名に特殊記号やスペースを使うことはできません。しかし、ツリーノードラベル(ダイアログのラベル)には特殊記号やスペースを使うことができます。

基線と積分曲線

作成された基線、積分曲線、ROIボックスで選択された範囲の差分曲線を出力するか指定します。

基線 (base) 基線の情報を出力するか指定します。
積分曲線 (Integrated) 積分曲線を出力するかどうかを指定します。
減算された曲線(Subtracted) 基線モードがなしでない場合の、減算された曲線(ソースデータから選択された基線を減算)を出力するか指定します。
出力先 (Outputto) 結果を出力する場所を指定します。
  • 「ソースシート」は、結果をソースワークシートの新しい列に出力します。
  • 「ソースブック、新しいシート」は、結果をソースワークブックのGadgetIntegN というシートに出力します。
  • 「新しいブック」は、結果をGadgetIntegN というブックに出力します。

フライアウトメニュー

ROIボックスの右上角にある三角形のボタンROI menu.pngをクリックして、以下のオプションを含んだフライアウトメニューを開きます。

新しい出力 結果を出力します。
すべての曲線で出力(N) 現在のレイヤのすべての曲線の結果を指定されたワークシートに出力します (空でなければ、結果を追加します)。
すべてのレイヤで出力(L) 現在のグラフ内にある全レイヤの全ての曲線の結果を、指定したワークシートに出力します(空でなければ、結果を追加します)。
最後の出力を更新 最後の出力を更新します。これは既に出力が1回行われている時のみ使用できます。
レポートシートに行く ワークシートの結果が出力されてから、レポートのワークシートに移動します。
ソースワークシートに行く ソースワークシートに移動します。
クリップボードに出力 選択すると(メニューの項目にチェックが入っている)、新しい出力がクリップボードに出力されます。
データ変更 入力データの変更
  • デフォルトで自動モードになっています。 自動が有効になっている場合、プロットの選択は、グラフウィンドウまたはオブジェクトマネージャでプロットをクリックすることによって可能です。 Origin 2019より前のバージョンでは、自動はサポートしていないので、変更する場合はフライアウトメニューを使います。
  • 各プロットにチェックを付けて、そのプロットを選択します。
  • 選択...または、詳細...をクリックするとプロットを選択ダイアログが開きます。
プロット群の最大範囲に拡大する ROIボックスを全プロット範囲に拡大します。
ROI位置の固定 ROIボックスの位置を固定します。
テーマに名前を付けて保存 この設定をダイアログテーマとして保存します。
<デフォルト>として保存 この設定を<デフォルト>テーマとして保存します。
テーマのロード 以前保存されたテーマをロードします。
設定 設定ダイアログを開きます。

サンプル

基線y=2で、グラフの面積に積分を実行するには、以下のように操作します。

  1. 新しいワークシートを作成します。
  2. <Originプログラムフォルダ>\Samples\Signal ProcessingにあるOriginのサンプルファイルfftfilter1.DATをインポートします。
  3. Originメニューから作図: 線図: スプラインを選択して、グラフを描画します。
    Addtool curve integ.png
  4. グラフウィンドウをアクティブにしてから、Originメニューでガジェット:積分を選び、積分:addtool_curve_integダイアログを開きます。
  5. 基線タブを開きます。モード定数Yを選択し、Y=編集ボックスに2と入力します。
    Addtool Curve Integ 1.png
  6. OKボタンをクリックします。これでプロットに矩形オブジェクトが追加されます。積分面積は矩形の上側に表示されます。
    Addtool curve integ2.png
  7. ROI arrow.png ボタンをクリックし、コンテキストメニューから新しい出力を選択します。結果は、デフォルトで、スクリプトウィンドウに出力されます。